劇レアコイン
— 1580-81 ELIZABETH I ANGEL —

  • イギリス 1580-81年銘 エリザベス1世 エンジェル金貨 NGC MS62






    エンジェル金貨は1465年ごろからイギリスで登場しました。 エンジェル金貨という名前は大天使ミカエル(天使=エンジェル)が ドラゴン(悪魔の象徴)を退治するデザインが用いられたことが由来です。 このエンジェル金貨はノーブル金貨の後継と位置付けられました。



    エンジェル金貨は法定通貨として役割はもちろん、 当時、不治の病とされたリンパ節や癌などの患者に 聖職者が悪魔退治と癒しの力として与えていました。 当時は悪魔の仕業とされていましたので、 コインに穴をあけ紐を通して首からかけてもらってました。 癒しや悪(病気)から保護するお守りして身につけられていました。

    1575年にケニルワース(Kenilworth 都市)でエリザベス1世自らが公式に癒しの儀式を行い、 彼女自ら患者に手をさしのべられたそうです。 そして実際に患者の痛みのある箇所に このコインを使って十字を切り回復を願ったと記録されてます。

    エンジェル金貨はとても高価なものであり、 貴族や権力者しか所有することができなかったので、 当時は金メッキの代替コインが使われていたようです。 またこの儀式は1714年のアン女王の死去まで続いたそうです。

    このコインの現存数は凄く少ない理由として、 コインはご遺体と一緒に埋葬されたからだとも言われてます。 穴がなく、状態の良いものはほぼ残ってないのも納得ですね。 通貨としてだけではなく、 厄払い(悪魔退治)のアイテムとしてやお守りとしての役割もあったエンジェル金貨です。

    一部の貴族や権力者しか持てなかったエンジェル金貨ですが、 実際にどのくらい発行されたのか調べてみました。下記の参考資料に記載がありました。

    エリザベス1世のコインについて書かれた本の一部:
    https://www.britnumsoc.org/publications/Digital%20BNJ/pdfs/1989_BNJ_59_9.pdf



    資料を参考にすると、販売(発行)されたのは18枚となってます。 ただ本にも記載されてますが、 この数字は実際に販売された数字より多く記載されてると書かれています。 「Although the sales record is an indication of rarity, particularly desirable coins tend to be over-represented.」 直訳すると、「販売記録がそのコインの希少性を表していますが、 その数は過剰に記載されてる傾向があります。」 上記の内容が事実だとすると、多く見積もっても18枚しか発行されてないようです。 発行18枚と考えるとR4。 現存はR5(5-10枚)ぐらいだと思います。 実際に鑑定コインは6枚のみ。

    あとエリザベス1世の金貨にはFine Gold (純度 0.995) と Crown Gold (0.917) の2種類存在します。 エンジェル、ハーフエンジェルは Fine Goldとなってます。 純度0.995の純金で鋳造されてます。 この事実は知らない方も多いと思います。 私もイギリスコインなので純度は0.917だと思っていました。 新しい発見です!!

    詳細情報:

    年号: 1580-81年
    タイプ: エンジェル金貨(1/2ポンド)
    カタログ番号: S.2525; N.1991/1; cf. Schneider 768; Brown & Comber C19
    メタル: ゴールド 0.995
    統治王: エリザベス1世
    重量: 5.16グラム
    直径: ミリ
    発行枚数: 最大18枚(現存は5-10枚程度)
    表面:
    両足と槍を手にした大天使聖ミカエルがドラゴンを退治している様子
    補足:聖ミカエルは、 キリスト教において最も有名な天使の一人であり、 天軍の総司令官として悪魔と戦う存在として知られています。
    竜は、悪魔や邪悪の象徴として描かれています。

    裏面:
    マストに王室の紋章が付いた海上の船
    PERCR VCE TVA SALVA NOS XPE RED
    補足:船は、イングランドの海上力を象徴するものと考えられています。 船の帆の横に描かれているEはエリザベス1世のイニシャルです。 薔薇は王家の象徴です。Eと薔薇の上には十字架が下には紋章が刻まれています。
    表と裏の並び: ↑↓


    発行年:

    エリザベス1世のコインは
    大きく分けて下記のように分類されます:

    第1期 1559-60年
    第2期 1560-61年
    第3期 1561-72年
    第4期 1572-78年
    第5期 1578-82年
    第6期 1583-1600年
    第7期 1601-03年


    年代別に発行されたコイン:

    第1期:
    金貨:ソブリン, エンジェル, ハーフ・エンジェル, ハーフ・ポンド, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:シリング, グロート, ハーフ・グロート, ペニー

    第2期:
    金貨:ソブリン, エンジェル, ハーフ・エンジェル, ハーフ・ポンド, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:シリング, グロート, ハーフ・グロート, ペニー

    第3期:
    金貨:エンジェル, ハーフ・エンジェル, 1/4エンジェル, ハーフ・ポンド, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:シックスペンス, スリー・ペンス, ハーフ・グロート, スリー・ハーフペンス, ペニー, スリーファージング

    第4期:
    金貨:エンジェル, ハーフ・エンジェル, 1/4エンジェル, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:シックスペンス, スリー・ペンス, スリー・ハーフペンス, ペニー, スリーファージング

    第5期:
    金貨:エンジェル, ハーフ・エンジェル, 1/4エンジェル
    銀貨:シックスペンス, スリー・ペンス, スリー・ハーフペンス, ペニー, スリーファージング

    第6期:
    金貨:ソブリン, ryal, エンジェル, ハーフ・エンジェル, 1/4エンジェル, ポンド, ハーフ・ポンド, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:シリング, シックスペンス, ツー・ペンス (ハーフ・グロート), ペニー, ハーフ・ペニー

    第7期:
    金貨:エンジェル, ポンド, ハーフ・ポンド, クラウン, ハーフ・クラウン
    銀貨:クラウン, ハーフ・クラウン, シリング, シックスペンス, ツー・ペンス (ハーフ・グロート), ペニー, ハーフ・ペニー

    ミントマーク:

    第1期:lis.
    第2期:cross-crosslet; martlet.
    第3期:pheon (1561-65); rose (1565); portcullis (1566); lion (1566-67); coronet (1567-70); castle (1570-71).
    第4期:ermine (1572-73); acorn (1573-74); eglantine (1574-78).
    第5期:Greek cross (1578-79); Latin cross (1580-81); sword (1582).



    第6期:bell (1582-83); 'A' (1583-84); escallop (1584-86); crescent (1587-89); hand (1590-92); tun (1592-94); woolpack (1594-96); key (1596-98); anchor (1598-99); 'O' (1600).
    第7期: '1' (1601-02); '2' (1602).



    鑑定:

    NGC, PCGS合わせて鑑定コインは6枚のみ。
    こちらはMS62の最高鑑定の2枚のうちの1枚です。

    NGC鑑定:
    MS62:2枚 ← ここ!!
    MS61:1枚
    AU55:1枚
    XF45:1枚

    PCGS鑑定:
    AU55:1枚





    販売中:

    R5 最高鑑定 1580-81年 英国 エリザベス1世 エンジェル金貨 NGC MS62
    https://www.kinbai.com/catalog/detail/10687

    彼女の有名な言葉に「私はイギリスと結婚した」という言葉がありますが、 その言葉通り生涯独身を通したことから「処女王(ヴァージン・クイーン)」と呼ばれ、 最も偉大な君主として世界中から称されています。そんな彼女のコインも、とてつもなく人気が高く、 ソブリンや1ポンド金貨はMSグレードになると1千万円を超えてしまいます。